Q2 「先生、めまいがします・・・」
★Q2 「先生、めまいがします・・・」
⇒回答 「乳がん治療中ならば・・・」
a. 乳房切除術とバランス感覚
女性のシンボルである乳房。
乳がんで乳房を切除した場合、揺れて重さを感じていた乳房がなくなったという喪失感や虚脱感を覚える場合があります。
歩行時に何となく乳房のある健側に寄っていく感覚を覚えることがあるそうです(感覚ばかりでなく、健側に寄っていく歩きを友人に指摘される方もいます)。それほど、今まで左右にあった乳房の一側を失うことは、めまいではありませんが、からだのバランス感覚に影響します。この感覚は、時間の経過と共に「そういえば、最近感じなくなった」という程度に回復します。
b. ホルモン療法とめまい
乳がんの再発予防のため、女性ホルモンであるエストロゲンを少なくする治療法があります。この治療法をホルモン療法と言います。
ホルモン療法を行うと、更年期症状によく似た症状が出ます。更年期の症状としてホットフラッシュ(ほてりやのぼせ)、動悸(どうき)、血圧の変動、めまいや耳鳴りがあります。
乳がんのホルモン療法では、更年期と違い、短期間にエストロゲンが低下するため、このような症状が急に出現することがあります。
そのため、メニエール病とまぎらわしく、耳鼻咽喉科の診断が必要になることがあります。
みなさん、不安が不安をあおることがあります。不安を感じたら、躊躇せず、まず、専門医を訪ねましょう。
受診のときには、乳がん治療中であることと、服用中の薬を必ず申告しましょう。
回答)聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 耳鼻咽喉科部長 岡田智幸